いい意味での空気

数ヶ月前から、恋人の家へご招待してもらえるようになった。ので、ちょこちょこお邪魔している。
恋人の家は私にとってはもうひとつの家みたいなもので、とても落ち着く。こたつでごろごろするのも、テレビやDVDを観るのも、並んで料理をするのも、外では出来ない、尊いことだと思う。
知り合ったときから時間が経って、私たちの間にはお互いへの安心、みたいなものが生まれた気がしていて。信頼、と言ってもいいのかな、最初のどきどきわくわくが少し失われる代わりにお互いの理解が深まった分生まれたもの。嫌な言い方をすれば、妥協とか諦め、とかにも繋がるだろうもの。
でも、恋人の家がどんなに落ち着く場所であろうと、そこは私の家ではない。恋人にとっても、たとえそこが自分の家であろうと私という他人がいれば自分の家ではなくなるのだろう、と思う。
それと同様に、恋人と過ごす休日もまた休日ではない。それは恋人と過ごす時間であり、休みではない。仕事はないけれど、当たり前だが1人で過ごす休日とは違う。恋人にとっても私と一緒の休日はまた休みではないのだろうと思う。
恋人といるとくつろげないだとかそんなことを言いたいのではない。ただ、私と彼は恋人同士ではあってもあくまで他人で、結局は個人だということである。
いつか、いい意味でお互いが空気になれたらいいと思う。お互いがお互いを必要としているけれど、1人でいるときと同じような状態にもなれる存在に。